2012年5月6日日曜日

【コラム】店長力UP講座・マーケティング入門(3)

【第3回】外部の環境を分析する(マクロ視点)
執筆=徳田幸修(STI 代表)

今回からいよいよ、店舗戦略策定からマーケティング施策までの具体的な流れを説明させて頂きます。今回使用するフレームワークは「PEST分析」と「5F分析」です。

戦略策定において先ず行うべきことは、自店舗の周りがどういった外部環境になっているのかを把握することです。今回はマクロの視点で外部環境を分析する手法をお伝えします。
「PEST分析」のPは政治(Politics)、Eは経済(Economics)、Sは社会(Society)Tは技術(Technology)を意味します。

パチンコ営業はそもそも許可営業ですから、Pの政治は、法律改正や消費税率変更など、業界全体に極めて大きな影響力があります。Eの経済やSの社会も、景気動向やそれがもたらす消費マインドの変化と言う意味で重要です。Tの技術は、液晶技術の進化が遊技機価格に与えたインパクトは大きいですし、今後の技術革新によっては、パチンコの遊び方それ自体が変化するかもしれません。

このようにPEST分析をすることで、現在若しくは短期的な将来に、どのようなマクロ的要素が自店舗に一番影響を与えるかを把握することが出来、そのことが自店舗の戦略の大まかな流れを決定することに繋がります。喫緊の問題で例を言えば、消費税率の変更が挙げられます。当然いち企業で対応する問題ではありませんが、実際そうなった時に自社や自店舗はどう動くのかを社内で検討しておくことで、今現在から取り組むべきマーケティング課題が見えてきます。

次にPEST分析よりも、もう少し視点を絞った分析を行います。ここで使用するのが「5F分析」です。マイケル・ポーター教授が提唱したフレームワークの一つで、現状の業界構造や業界の魅力度を分析します。

5Fとはファイブフォース(5つの力)と言う意味で、1つ目が売り手の交渉力、2つ目が買い手の交渉力、3つ目が新規参入の脅威、4つ目が代替品のサービス、5つ目が業界内の力を指します。力の順番に意味はありません。
それぞれを簡単に説明すると、売り手とは自分がお金を払う相手(機械メーカー)、買い手とは自分がお金を貰う相手(遊技客)、新規参入とは参入障壁の厚さ、代替品とはパチンコに替わる娯楽(公営ギャンブル・携帯ゲーム)、業界内とは競合店舗になります。

5F分析をする意味は、その業界の構造や魅力度を分析することで、5つの力のうち、自店舗の利益を奪う一番の要因は何かを特定し、その要因をいかに弱くさせるのかを考えることで、自店舗の店舗戦略に役立てることです。
5F分析する上での留意点は、業界をどう定義するかということです。単に「パチンコ業界」とするのではなく、視野を広げて「レジャー業界」、または狭めて「1円パチンコ業界」と定義すると、それぞれ導き出される結論が変わってきます。

今回はマクロ視点での外部環境分析の手法をお伝えしましたが、次回はミクロ視点での外部環境分析、その先にある内部環境分析について説明させて頂きます。

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【第2回】情報を整理する「フレームワーク」
http://amusement-japan.blogspot.jp/2012/04/up2.html
【第1回】戦略を考える上で大事なこと
http://amusement-japan.blogspot.jp/2012/02/up1.html
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【執筆者プロフィール】
とくだ・ゆきのぶ
福井県出身。大阪経済大学 経営学部卒業、グロービス経営大学院卒業(MBA)。
大学卒業後、新卒採用で大阪府のパチンコホールに入社。その後、出身地に戻り3店舗のパチンコ店経営に携わり2003年から2008年まで代表取締役社長を務める。在任中に国内MBA取得。現在は、パチンコ業界の社会的地位確立・現場能力の向上をサポートするため株式会社STIを設立、人材育成に取り組む

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