【第2回】情報を整理する「フレームワーク」
執筆=徳田幸修(STI 代表)
店舗運営を任されている店長には、毎日膨大な情報が入ってきて又、更新されます。内規の変更、新機種の発売日、そのスペック。自店の稼働状況に加え、競合店の動き。実に様々な情報が錯綜します。それらの情報を一つ一つ丁寧に分析しても、逆に全てを混同して分析しても、なかなか自店舗にとって意味のある戦略は出てきません。
このような時、ある一定の「枠組み」を使って簡単に情報を整理できる方法があります。その枠組みを使うことによって、複雑に絡み合った情報が少しずつ解きほぐされ、一定の塊に分類され、情報の重要度やそれぞれの関連性が見えやすくなり、自店舗にとって優位な戦略を構築する足がかりになります。
この枠組みのことを「フレームワーク」と言います。例えば、ビジネスで最も使用されているフレームワークの一つに「3C分析」というものがあります。3つの「C」はそれぞれ顧客(Customer)、競合(Competitor)、自店舗(Company)を意味します。
皆さんの社内会議や店舗内ミーティングでは、様々な意見が出てくると思いますが。その意見の内容が、顧客と競合店舗と自店舗のことを全て混同して話しているために、議論の方向性があやふやになってしまい、結局何の会議だったのかわからなくなったという経験があるのではないでしょうか? 実際目に見えている「問題」は確かに、これらのことが複雑に絡み合った結果です。しかし、自店舗にとって最適な戦略を考える上では、その複雑に絡み合った糸を解きほぐすことから始めなければなりません。
こんな時に3C分析で、全ての意見や情報がどの「C」について述べているのかを分類することで、複雑に絡み合った情報が整理でき、それらの情報がどう繋がっているかという関連性が見えてきます。
例えば、「最近、新台の寿命が短命だ」という課題に対して、とりあえず会議を開き皆で意見するというのではなく、顧客・競合店舗・自店舗の3つの「C」について別々のチームを作るということも有効です。各々のチームが、担当した「C」についてできる限りの情報を集め、その中で重要と思われる情報を抽出して持ち寄った会議を開くことで、課題に対してより本質に迫った問題点と解決案が出てくるはずです。
このようにフレームワークというのは、情報を整理し、その関連性を確認するのに非常に便利なツール(道具)です。しかしフレームワークを使用する最大の利点は、限られた経営資源(人・物・金・時間・情報)の中で、できるだけ効率的な解決策を、素早く意思決定できることです。さらに店長が身につけるべき5つの能力「現状把握能力」「課題設定能力」「課題解決能力」「課題実行能力」「課題検証能力」のうち、最初に身につけるべき能力である「現状把握能力」が備わることです。
さて、次回からはいよいよ店舗戦略策定からマーケティング施策の立案までの具体的な流れを、様々なフレームワークを使用して説明させて頂きますが、読者の皆様には是非憶えておいて頂きたい言葉があります。それは「整合性」です。
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【第1回】戦略を考える上で大事なこと
http://amusement-japan.blogspot.jp/2012/02/up1.html
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【執筆者プロフィール】
とくだ・ゆきのぶ
福井県出身。大阪経済大学 経営学部卒業、グロービス経営大学院卒業(MBA)。
大学卒業後、新卒採用で大阪府のパチンコホールに入社。その後、出身地に戻り3店舗のパチンコ店経営に携わり2003年から2008年まで代表取締役社長を務める。在任中に国内MBA取得。現在は、パチンコ業界の社会的地位確立・現場能力の向上をサポートするため株式会社STIを設立、人材育成に取り組む
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